ファームのススメ

ファームのススメ

幼少期から巨人一色。宮崎瑠依の球団愛と取材秘話

2021/05/25

フリーアナウンサーとして、野球やサッカーの魅力を伝える宮崎瑠依さん。幼少期から家族ぐるみで読売ジャイアンツを応援し、今も現場に足を運び続けています。

その球団愛を育んだ地元の環境と、スポーツキャスター時代の知られざるエピソードについて伺いしました。そして、恒例の歴代ベストナインも……!

身近にレジェンドと通訳。選手の家に行くことも

生まれた時から、常にジャイアンツが身近にありました。実家が長嶋茂雄さんの自宅の近くで、家族は大のジャイアンツファンだったんです。しかも、家が近い幼馴染のお父さんがジャイアンツで外国人選手の通訳をやっていて。私は小学校から私立の学校に通っていて地元の友達が少なかったのですが、その幼馴染も同じ学校でした。通学路が一緒だったので、とても仲が良かったんです。

外国人選手のヒーローインタビューでは、その子のお父さんもテレビに映るので、それを楽しみに中継を観ていたのを覚えています。でも、年頃になると周りの子たちは野球中継よりもドラマの方が好きで。野球中継が延長すると、「ドラマのスタートが遅れてしまう」と文句を言っていました。私からすると、ドラマが始まると’大事な9回裏が見られない’なんてことがあるので、そちらの方が大問題でしたね(笑)。

ジャイアンツには昔、バルビーノ・ガルベスという選手がいたのですが(1996年〜2000年に在籍)、中学の時に彼の家に行ったことがあるんです! 幼馴染が「パパがガルベスの家にいるから、一緒に行こう」と。 贅沢な思い出です。

長嶋監督も近所だったので、よくお見かけしていました。長嶋さんは大人とか子供とか関係なく、「おはようございます」「今日も良い天気ですね」と声をかけてくれるんですよ。両親が一緒にいなくて、一人で歩いていてすれ違う際「長嶋さんだ!話したいな…」と思った時にも、長嶋さんから「こんにちは!」と挨拶してくれて、ものすごく嬉しかったことを鮮明に覚えています。それがきっかけで、選手だけでなく監督のことも好きになりました。

とはいえ、高校までは年間数試合しか現地で観戦していませんでした。大学から時間に余裕ができて、友達とチケットを買って東京ドームに行き始めたんです。外野で応援するようにもなり、かなり通い詰めていましたね。当時は芸能活動も並行していたので、徐々に野球の仕事がしたいと思うようになりました。

サッカー番組時代は「週末サッカー、平日野球」

野球の仕事を志してからは、毎試合、観戦するときにスコアブックを書いていました。ただ試合を見るだけでなく、記録することで何か得られるものがあるのではないかと。より打席に集中して見られるようになりましたし、今でもずっと書き続けています。

女性でスコアブックを書いている人はあまりいないので、「高校時代はマネージャーだったの?」と声をかけられたこともあります。全くそんな経験はないのですが(笑)。自宅で中継を見ながら書いたり、現地だとはっきり球種が分からないので、打席の結果だけ書いたりしています。座る席によっては球筋までは見えづらいこともあるため、そんな時はストレートか変化球か、急速をヒントに記録することもありますが、菅野(智之)投手のように変化球も速いと混乱しますね。

2010年には、スターダストプロモーションから、ホリプロのスポーツ文化部アナウンス室へ移籍しました。2012年からJ SPORTSで野球番組のキャスターを担当して、徐々に取材に行く機会が増えてきました。

番組のオーディションでは、「最近の気になる野球ニュースは?」と聞かれたのを覚えています。でも、シーズンオフの1月だったので、本当に野球が好きでないとニュースが浮かばない時期。

ちょうどそのとき、杉内俊哉選手がFA権を行使して、ソフトバンクからジャイアンツに移籍していたんです。しかも、桑田真澄さんが退団してからずっと空き番だった、エースナンバー18を付けた。そのことについて自分なりの思いを熱く語ったら、オーディションに受かりました(笑)。キャスターになってからも、ジャイアンツファンであることはそのうちバレると思っていたので、隠していなかったです。

その後は2014年から3年間、NHK BS1でJリーグタイムの司会を務めました。初年度にガンバ大阪が3冠を達成したのは、今でも強く覚えています。サッカーの取材が多くなりましたが、スポーツ報知でジャイアンツの連載も担当していたので、野球は引き続き追っていました。週末はサッカーを見て、平日は野球と、忙しい日々でしたね。

野球は平日にもやっているので、他のスポーツが好きな方でも、見に行きやすさはあると思います。私の友達にも、鹿島アントラーズと日本ハムファイターズのファンの子がいて、一緒にサッカーも野球も観に行っています。

仕事として競技に関わると、ジャイアンツだけでなく、他の球団の魅力も知ることができます。昔はジャイアンツばかり見ていましたが、今はサッカーでも野球でも、どの試合を見ても楽しいです。幅広いチームを見ることによって、自分が応援しているチームの魅力を再認識することもあります。

多い時は現地で年間60〜70試合くらい。関東圏の試合は毎週行って、キャンプも自主的に足を運びます。キャンプの後半になると、多くのチームが沖縄に集中するので、ハシゴがしやすくなります。一人でレンタカーを借りて、那覇から名護、国頭までキャンプ地を回っていました。

阿部慎之助は特別な存在。私が選ぶベストナイン

ジャイアンツで好きな選手を挙げるとキリがないです。高橋由伸さんや二岡智宏さんのミレニアム打線も大好きですが、やはり阿部慎之助さんは特別な存在でした。私が取材で「ホームランにこだわりはありますか?」と聞いたら、「そりゃあ、あるよ。子どもたちがサインをもらいに来る時に、『ヒットを打ってください』なんて言われたことがないし、みんなホームランを求めている。だから、子どもたちにホームランを見て帰ってほしい」と。その言葉にすごく感動しました。

女性記者が少ない中で、私の取材への熱意を汲み取って、たくさんお話を聞かせてくれました。少年のように真っ直ぐな気持ちで野球が大好きな方という印象です。そしてなによりキャッチャーで4番を打つ姿はやはり特別だと感じました。

原辰徳監督への思い入れも深いです。現役時代から活躍を見ていて、まさにレジェンド。神様のような存在ですが、普段は意外にもフランクな方で。ジャイアンツは記者の数がとても多いのに、「おーるいちゃん」と名前を覚えてくださって。すごく嬉しかったですね。そんなお人柄にも惹かれて、更に好きになりました。

悩んだ末に…

ベストナインを選ぶなら、1番は私の永遠のスターである高橋由伸さんです。ショートは坂本勇人選手の一択。助っ人はやっぱりラミちゃんかなと。そして、4番にはホームランに何度も魅了された松井秀喜さんを選びます。

捕手は阿部慎之助選手しか考えられません。サードは原辰徳さん。このメンバーの中に、全盛期の原さんを入れたいです。セカンドは、仁志敏久さんが今までで一番好きな二塁手かなと。仁志、二岡の二遊間は最高でした。

投手は菅野智之選手。ジャイアンツには素晴らしい投手が過去にもたくさんいますが、私の中では彼がナンバーワンです。監督は、私を野球好きに導いてくれた長嶋茂雄さんにしました!

1(右)高橋由伸
2(遊)坂本勇人
3(左)ラミレス
4(中)松井秀喜
5(捕)阿部慎之助
6(三)原辰徳
7(一)岡本和真
8(二)仁志敏久
9(投)菅野智之
監督 長嶋茂雄

<後編へ続く>

ファームのススメ

ファームのススメ